とあるバンドのレコーディング日記

とある事務所の会議室にて

〜 レコーディングの一ヶ月ほど前 〜

【 登場人物 】
▽ とあるレコード会社の制作部長(A部長)
▽ とあるレコード会社の担当ディレクター(Bディレクター)
▽ とある音楽事務所の社長(C社長)
▽ とある制作会社の部長(D部長)
▽ とあるバンド(E)
▽ とあるエンジニア(Rec)

とある事務所の会議室、午後1時頃・・・
とあるレコード会社と、とある制作会社が、共同で原盤を持ってデビューさせようとしているバンド「F」に関係する方々が集まってきました。
バンド「F」を発見して密かに育てていた、とあるレコード会社のディレクター(Bさん)とその上司である制作部長(Aさん)。
バンド「F」のメンバーが所属する、とある音楽事務所の社長(Cさん)。
簡単にいえば、一緒にバンドを育てていこうと協賛している、とある制作会社の部長(Dさん)。
そして、エンジニア(Rec)。
通常エンジニアも、このようなミーティングで選定され、実際にはレコーディング直前の顔合わせ位から参加する事が多いのですが、制作会社との繋がりと、事前にライブを観て「ぜひ、やりたい」と思っていたのもあり、とりあえずエンジニアとしてミーティングに参加することになりました。
もちろん、このミーティングの前にも、コンセプトやプロモーションなどについては何度も話し合っていて、その上で今日は、実際にレコーディングするにあたっての具体的な事を決めるためのミーティングです。

ミーティングは、担当のディレクターBさんを中心に進められました。
まずは、アルバムに収録する(実際にレコーディングする)楽曲の選定です。
事前に聴いていた数十曲のデモテープ(ライブ録音・リハスタでの録音・自宅録音などの音源)から、今回のコンセプト・プロモーション戦略はもちろん、時代の流れやちょっとだけ自分の好み、できあがりのアルバムの曲順なども考えて、それぞれに意見を出し合いながら選曲していきます。
様々な意見が出た後に、ようやく、収録曲と今回のアルバムには入れないけれど、バンドの今後の為に一度録っておきたいという一曲が決まりました。
好み(思い入れ)というのも考えようで、例えば、100人中99人が「まあまあ好き」という曲と、100人中1人が「絶対好き」という曲、どちらを選ぶか判断が難しいところです。

アルバムに収録する楽曲が出揃ったところで、次はプロデューサー(いわゆるサウンド・プロデューサー)の選定です。
バンドの場合、メンバーがアレンジをしているのがほとんどだと思いますが、レコーディングの際には、専門的な知識や技術・ノウハウ・新しい色を加える・現場の進行役などのために、プロデューサーをたてる事が多いようです。
今回も、それぞれの方の人の繋がりや今までの作品など、様々な事が考慮され、とあるプロデューサーFさんに白羽の矢が立ちました。
その頃、駆け出しのエンジニアだったRecは、Fさんの名前は知っていて「こりゃ大変な事になった、(自分で)大丈夫かな?」という気持ちと「やりがいがある、がんばろう」という気持ちが交錯して、まだ始まっていないのに、かなり緊張感が高まってきました。

後は、スタジオとメンバー・スタッフの方のスケジュールの調整をして、とりあえず、本番前に顔合わせを兼ねて「デモ・レコーディングをしましょう」という事になり、そのときに「レコーディングの進め方も詳しく決めましょう」という事で、ミーティングは終了しました。