いよいよ、Rhythm録り
〜 レコーディングの一ヶ月ほど前 〜
【 登場人物 】
▽ とあるプロデューサー(Fプロデューサー)
▽ とあるレコード会社の担当ディレクター(Bディレクター)
▽ とある音楽事務所の社長(C社長)
▽ とあるバンド(E)
▽ とあるエンジニア(Rec)
とある都内のレコーディングスタジオ、午後5時30分頃・・・
一通り音決めが終わって、いよいよRhythm録りです。
今回はアナログのMTRで録る事を許されましたので、特にドラムの人は「パンチインなし」でいけるように気合いが入っています。
自分がアシスタントを始めた頃は、アナログのMTRしかなかったので、当然それでやっていたわけですが、デジタルのMTRが主流になってからは、
▽作業効率(パンチイン・アウトが繋がりにくい、調整が必要、トラック数、操作性など)
▽コスト(アナログのテープが高い、機材使用料がかかる場合があるなど)
▽管理(持ち運びが大変、保管の場所をとるなど)
の面からも、アナログのMTRを使う事が一種の贅沢のようになってしまいました。
また、構造上パンチイン・アウトが繋がりにくいので、あまりにも多いと時間効率が悪くなる事から、メンバーの演奏力もアナログのMTRを使うかどうかの判断の基準になります。
とはいえ、アナログのMTRの音には捨てがたいものがあるので、予算的・時間的なものが折り合えば、ぜひとも使用したいものです。
というわけで、メンバー(特にドラム)は気合い充分で、それぞれの位置にスタンバッています。
アシスタントからキューボックスの説明があった後、「とりあえず一回やってみようか」というプロデューサーFさんの声に、「ハーイ」「ウッス」などめいめいの返事があって、アシスタントの「お願いしま~す」の声とともにクリック(ドンカマ)がでます。
ドラムの人のカウントに続いて、演奏が始まります。
全体の中での、音質・レベルなどの調整をしながら、モニターバランスをとっていきます。
一通り最後まで演奏が終わると、まずは「ヘッドホン大丈夫ですかぁ?」という感じで、キューボックスの使い方は大丈夫か・不具合はないか確認します。
「ドンカマ、こっちで目一杯なんですけど、もう少し上がります?」とか「2Mixのベース、もうちょっと上げて下さ~い」などなど、要望を聞き、対処します。
基本的にキューボックスには、コントロールルームで聴いているモニターバランスと同じ「2Mix」と、各パート(今回は「ドラム」「ベース」「ギター」「仮唄(ボーカル)」)と、クリック(ドンカマ)がそれぞれバラバラに返っています。
それをメンバーそれぞれが、自分が演奏しやすいバランスに調整します。
もろもろ調整が終わったところで、スタジオで演奏した感じでの「テンポどうかな?」とか「構成はいいかな?」など、再度確認して「じゃあ一回録ってみよう」と、最初の録音が始まります。
「いい感じだよ。聴いてみようか」というFさんの声に、メンバーがこちらにやってきます。
一通り聴いて、「ベースもうちょっと歪んでてもいいかな」「ライドもうちょっと聞こえたいな」など全体の中での、メンバーの意見を聞いて、一つずつ修正します。
今度は聴いた感じでの「テンポ」「構成」などを最終的に確認して、いよいよ全員一致の「OKテイク」を目指して録音開始です。
基本的に最初はドラムの「OKテイク」を録るのが目標です。
何回か録音して、だんだんいい感じになってきて、「こちら的にはOKだと思うけど、聴いてみる?」というFさんの声に、みんなこちらに来て聴いてみます。
「ん~、あそこだけかなぁ~」「もう一回聴いてみようか」「気にならないけど・・・」など意見が出て、結局「これを残して、もうワンテイクいいですか?」という事でもうワンテイク録る事になりました。
聴く側にはわからない、演奏者側のこだわり(いい意味で)というのもあるので、それも尊重しつつみんなが納得するテイクが録れるまで頑張ります。
2テイク録って、後で両方冷静に聴いてみて、結局、全体の勢いとノリの良さから、気になっている部分だけ直して最初のテイクがOKになりました。
次は、OKになったテイクにいろいろなパートをダビングしていきます。

