そして、トラックダウン(1)
【 登場人物 】
▽ とあるプロデューサー(Fプロデューサー)
▽ とあるレコード会社の担当ディレクター(Bディレクター)
▽ とある音楽事務所の社長(C社長)
▽ とあるバンド(E)
▽ とあるエンジニア(Rec)
とある都内のレコーディングスタジオ、午後1時頃・・・
いよいよ、スタジオでの最終作業であるトラックダウンの日です。
トラックダウンとか、ミックスダウンとか、ティーディーとか、ミックスとか、落しとか言ったりします。
アシスタント的には、テレコの調整やセッティングが済めば、わりとゆったりできる作業です。
ただし、事前の連絡はきちんとしておかなければなりません。
まずは、落し先、要するに何に録るか?という事です。
エンジニアやプロデューサーの好み、予算の関係などによって、ハーフ(1/2 inch)、DAT、PCM-1630(3/4 inch)などの選択肢があります。
この他にも、特にハードディスクで録りの作業をしていた場合、そのままハードディスク内にオーディオファイルの形で落とす事も多いです。
複数のメディアに落とす事も多いし、テレコの機種やテープの種類も様々なので、場合によってはレンタルしなければならない事もあるので、事前の確認が必要です。
例えば、「ハーフ、A-820、76で、456、250プラ3で!」と言われたら、
テレコはSTUDER A-820(1/2 inch)で、
テープスピードが76cm/sec(30ips)、
テープはQUANTEGYの456、
レベル(磁束密度)はMRL(と呼ばれる、スタジオ標準キャリブレーションテープ)250nwb/mをかけて+3VU(約320nwb/m)という事です(なんだか解らないという方も多いとは思いますが、書くとかなり長くなるので・・・)。
この他にも、ハーフなどアナログのテレコの場合、バイアスをどうするか?とか、アジマスの調整とか、定期的にするものも含め調整個所がたくさんあります。
調整個所の少ないDATの場合も、機種(Panasonic SV-4100など)、テープの種類(Sony PDPなど)、ヘッドルーム(-16dBなど)、サンプリング周波数(44.1や48kHzなど)の確認が必要です。
次に、アウトボード(エフェクター)類の確認です。
スタジオ常設のアウトボードが、トラックダウンのスタジオを選択する際の一つの基準にもなると思います。
それほど、大きな差は無いにしても、そのエンジニアがいつも使っているアウトボードがあるとないでは、やりやすさ、スタジオ時間、出来上がりにも差が出ると思います。
予算があれば、使いたい機材をレンタルしてしまえば良いのですが、機種や数によってはワンランク上のスタジオの方が安くなってしまう場合や、あまり技術の方に関心が無い方には「これが無きゃできないの?」とか「どう違うの?」とか思われかねません。
スタジオによっては、常設の他に持ち回りの機材があり、予約制(基本的に早い者勝ち)になっていて、有料でもレンタルより安めな設定の所が多いので、早めの確認が必要(親切)です。
事前の確認と、テレコの調整、アウトボード類のセッティングが終わってしまうと、ほとんどの場合、アシスタントは自由になります(数時間は)。
エンジニアによっては(自分もそうですが)、「自由にしてていいよ」とか「何かあったら呼ぶから」とか言って、解放してくれます。
その間、スタジオから出て時間を潰すも良し、エンジニアがやっているのを邪魔しないように見ながら何かを盗むも良し、人の居ないところで寝ているも良しです。
エンジニアによっては、そういうのを嫌う方もいるので、状況に合わせて判断して下さい。
特に、新人の時は、少しでも、何でも盗む(吸収する)時期なので、邪魔にならないように(また、エンジニアとそういう関係を築いておく)スタジオにいた方がいいと思います(本人次第ですが・・・)。
ちょっと、アシスタントよりの話が長くなってしまったので、エンジニア的な話は次回のお楽しみで!

