ひとりごと

◇耳こそはすべて!?(2003/04/06)

あのジョージ・マーティン氏も言っています。
『耳こそはすべて・・・音を最大限に楽しむには、必要なのは耳だけ。健康な状態に保つ事を忘れずに』
もちろん耳だけある状態なんてあり得ないので、音を聴くには最低限、耳が必要で「それだけ耳が大切」という事を言っているのだと思います。

レコーディングエンジニアにとって、耳は商売道具の一つです。
必要以上に神経質にならなくても良いと思いますが、ヘッドホンで長時間聴かない(特に耳に入れるタイプ)とか、大音量を長時間聴かないなど、ある程度、気を使った方が良いと思います。
それから、耳を休める(リセットする)事も必要で、それには「自然の音」が良いみたいです。
大きな木の葉っぱがこすれる音とか、小川のせせらぎとか、波の音とか・・・。
かなり高い周波数の音が出ているみたいで、それが耳に良いらしいし(というくらいしかわかりません、スイマセン)、そういう環境のところに行けば、心もリフレッシュ出来ると思います。

【慣れ】

人間の耳(耳だけに限りませんが)は良くできていて、まわりの環境に慣れる(順応する)ようになっているようです。
例えば、大きい音ばかり聴いていると、最初はうるさくてもだんだんと慣れてきて(リミッターがかかったようになって)、その内、多少の大きな音でも平気になってしまったりします(逆に小さな音が聞こえにくくなっているのかも、コワッ)。

この「慣れる(順応する)」というのが結構くせ者で・・・。
音量(音圧)だけではなくて、音質やバランス等も何度も聴いている内に慣れてしまうのです。
パッと聴いた時に違和感を感じても、何度も聴いていく内に違和感が無くなってしまう事があります(その瞬間は)。
TD等の時に、長い時間ずっとやっていたり、没頭してしまったりすると、行き過ぎてしまったり、違う方向に突き進んでしまったり、解らなくなってしまう事があり、それを避ける為に、ちょっと休憩したり、いつも聴いているCDを聴いてみたりして、耳を一度リセットしたりします。

「慣れ」という事もありますので、どうせなら、日頃からできるだけ「いい音」「いい音楽」を「いい環境」で聴くように心がけたら良いと思います(ただ、何が「いい音」か「いい音楽」かといわれたらむずかしいのですが、とりあえず「一流と言われる演奏家の生の音」とか・・・)。

【思い込み】

たまにスタジオで、例えばAとBを比較してどちらが良いか聴き比べる場合、2通り聴いて、自分なりに「Aの方よりBの方がカッコいい」とか思っていた時に、アシスタントが「すいません、切り替わっていませんでした」とか言うことがあって、「えっ!同じものだったって事?」と結構恥ずかしい思いをする事があります(微妙な違いの時ですよ)。

ホントは同じものなのに、「違うものだ」と思い込む事によって、違うように聞こえて、ご丁寧にどう違うか理由まで考えてしまう事もあります。
「慣れ」というのも、「それはそういうものだ」と思い込む事によって起きるのかも知れません。

【耳こそはすべて】

それから、「どのように聴くか」「何を聴くか」というのも選択する事ができます。
例えば、ベースの音に集中して聴いたり、スネアの音に集中して聴いたり、チェックの時にノイズに注意して聴いたり、する事ができます。
これは、たぶん、耳だけの性能ではなくて、感性の領域かもしれません。

人間の耳(感性)は素晴らしく、数msec(もしくはそれ以下)のタイミングの差とか、数cent(もしくはそれ以下)の音程の差とかを聞き分けられたりします(訓練も必要)。
ちょっとした音質の差や、音量の差、ニュアンスの差を聞き分けられたりもします。
「耳」自体の性能は、たぶん、とても良いのだと思います。

その性能の良い「耳」から入ってきた情報を、どう分析して、どう理解して、どう感じるか、という事だと思います。
そういった事も全て含めて「耳こそはすべて」という事なのだと思います。

最後に、レコーディングエンジニアだからといって、決して「耳が良い」という訳ではなくて(もちろん良い人もたくさんいます)、「音の(音楽の)聴き方・感じ方」「耳の使い方」がちょっと違うのだろうと思います。